いちばんくわしい「びろーん本(仮)」まとめ
びろーん本(仮)とは?
佐藤有文氏が著書にその図を引用している、化物尽くし絵巻のような物。
他の化物尽くし絵巻にはみられない化物が多く存在している。
しかし現時点では、その実物はもちろん類似した絵が載っている絵巻も見つかっておらず、
手がかりは佐藤有文氏の著書だけという状況である。
びろーん本(仮)に関する断片的情報
・江戸時代の妖怪の手本(『日本妖怪図鑑』)
・村上 先日、有文先生にインタヴューする機会があったときに、
「『びろ、びろ、びろーん』という文章はどこに書いてあったんですか?」って聞いたら、
「江戸だったか平安だったかの絵巻の中に書いてあったんですよ」とおっしゃってたね。(『妖怪馬鹿』)
・そこで直接、佐藤有文氏にお尋ねしたところ、その挿絵は江戸時代の書からの転載で
(その挿絵中には鳥山石燕が「野寺坊」などの絵手本としたものもみられる)、
その書名も書の行方も忘れたと答えられた(びろーんなる名称や呪文は、作家佐藤有文氏による創作のようである)。
(『怪』第参号 「絵解き画図百鬼夜行の妖怪」多田克己)
・佐藤先生は「びろ〜ん」や「金くい」を収録した和本は売ってしまったらしく。
今は幻の本となってしまった。(『懐しの妖怪図鑑』)
特徴からして、成立年代はおそらく江戸時代後期以降。
折れ目のようなものが横向きに入っていることや
名前が左側に描かれた化物があることなどから、
絵巻ではなく本か紙の束のようなものか。
なお一般的な化物尽くし絵巻と同じく、詞書はないと思われるため、
佐藤有文氏の妖怪解説は基本的に創作であると考えられる。
びろーん本(仮)に収録されていたであろう化物
元の名前:ぬれぼとけ 付けられた名前:びろーん ※一般的な化物尽くし絵巻に載っている「ぬりぼとけ」とは大きく形が異なる。 ※名前が左側に書かれている。 |
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元の名前:不明 付けられた名前:金くい/かなくい ※手に魚籠のような物をもっている。中身は金とは限らない。 |
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元の名前:さとり 付けられた名前:はらだし ※松井文庫の百鬼夜行絵巻の「五体面」に少し似ているが関連は不明。 ※名前が左側に書かれている。 ※手が両方左手になっている。 |
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元の名前:海ばけ 付けられた名前:河童 目、口、ポーズなどが一般的な化物尽くし絵巻に載っている「髪きり」に似ている。 |
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元の名前:不明 付けられた名前:みこし入道 ※びろーん本(仮)の中では珍しく、一般的な見越し入道の姿が描かれている。元々つけられた名前は不明だが、見越し入道やそれに類する化け物を描いたものと見て間違いないと思われる。 ※ただし、この見越し入道の姿は主に黄表紙で描かれたもので、化物づくし絵巻の見越し入道とは大きく異なる。 |
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元の名前:不明 付けられた名前:野寺坊 ※実際に野寺坊として描かれたものかどうかは不明。 |
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元の名前:不明 付けられた名前:一目小僧 |
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元の名前:山女? 付けられた名前:山うば ※江戸時代の怪談集などにはある化物だが、化物尽くし絵巻には普通描かれていない。 ※伝承では女の姿だが、ここでは動物のような顔をしている。 |