てえてえこぼし(てえてえこぼし)
とうやのばず(とうやのばず)
なんちのりぎょ(なんちのりぎょ)
さいちくりんのけいさんぞく(さいちくりんのけいさんぞく)
ほくさんのびゃっこ(ほくさんのびゃっこ)

昔、旅の乞食坊主が泊まるところがなく、
仕方なく化物が出るという荒れ寺に泊まることになった。
坊主がその寺で寝ていると、一人の大坊主が現れた。
隠れてみていると、戸を叩いて「「てえてえこぼし」はいるか」と何者かがやってきた。
その者が「私は「とうやのばず」である」と名乗ると寺の中の大坊主はその者を招き入れた。
入ってきた者もまた大坊主であった。
同様に「なんちのりぎょ」「さいちくりんのけいさんぞく」「ほくさんのびゃっこ」
と名乗る大坊主達が次々にやって来て、五体の化け物が揃った。
化け物たちは乞食坊主を食おうとするが、乞食坊主が化け物の正体を
「東野の馬頭」「南池の鯉魚」「西竹林の鶏三足」「北山の白狐」「椿々小法師」
だと言い当てると化け物たちはみな消えて行った。
次の日、乞食坊主は村人達とともに、
東の野原にある馬の頭蓋骨、南の池の鯉、西の竹林の三本足の鶏、北の山の古狐を始末し、
最後に寺の棟の上にあった椿でできた木槌を割った。
化け物は退治され、乞食坊主は村人達に頼まれそこの寺の住職になった。

こういった話は、名前など細部に違いがあるものの、
『宿直草』『一休諸国物語』などにあるほか全国に広く伝わっている。
ここでは岡山県真庭市八束地区に伝わっている話を挙げた。
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