獅子身中虫(しししんじゅうのむし)

山東京伝・葛飾北斎『化物和本草』にある化物。
それによると、「『加古川本草綱目』によると、頭は釣り灯篭のようで、
羽は蜘蛛の巣のようで、尻尾は書状のようであり、
常に縁の下に住み、蛸の肴を餌としており、
「由良殿、由良殿」といった声でなく。
ある人がかんざしを手裏剣のように打ってこの虫を殺し、鴨川に流したという。
赤鰯を嫌う虫である。
一様に家に生じて禄を蝕みその家を滅ぼそうとする。
不義不善を非常に好む憎むべき恐ろしい虫である。
『仮名手本忠臣蔵』の七段目に詳しく載っている。」
という。

赤鰯とは錆刀のことを意味する。
「獅子身中の虫」とは組織の内部にいながら仇をなす者のことである。
『化物和本草』の獅子身中虫はその特徴などから、
『仮名手本忠臣蔵』の登場人物である斧九太夫のことを意味しているようである。
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