鞍野郎(くらやろう)

「保元の夜軍に鎌田正清手がらをなせしも我ゆへなれば、
いかなる恩をもたぶべきに、手形をつけんと前輪のあたりをきりつけらるれば、
気も魂もきへ/\となりしとおしみて唄ふ声
いとおもしろく、夢のうちにおもひぬ(鳥山石燕『画図百鬼徒然袋』)」
おそらく鳥山石燕の創作と思われる鞍の化け物。
竹を刀のようにもって風呂敷のようなものをかぶった鞍が描かれている。

鞍とは馬に乗せて人が座れるようにするためのものである。
源義朝の家臣である鎌田正清は保元の乱(1156年)で、
義朝とともに夜討ちを成功させ、左馬頭となった。
鞍野郎は、この成功は馬術の訓練をしたため、つまり鞍のおかげであるのに
褒美ももらえず前輪に手形(手をかけるくぼみ)をつけられただけなので
気も魂も抜けてしまったと歌っている。
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