鳩人間(はとにんげん)

『山形民俗』第8号に高橋敏弘氏によって書かれたコラム
「鳩人間と言う怪物」にあるもの。
それによると、山形県山形市松波に古来から伝承されているもので、
人間が変身したのでなく魔界の使いであり、
人間が脳髄を鳩と入れ替えられて生まれたものだという。
魔物の手にかかった鳩は巨大になり、「コレダモンナ」と鳴き、
人間の意識と動物の凶暴性を持ち合わせ、怒り狂うと村を破壊して回った。
動物を好きな人や子供には危害を加えなかったが、
力が強いので危害をくわえたように思われ虐待されたという。

怒ると破壊のみの本来の性格が全面に表れ、
全長50メートル程度、羽ばたきは一瞬で木造住宅を吹き飛ばすことができ、
口からはあたった物を爆発させるか溶かしてしまう怪光線を吐く。

伝承されているのは山形だが、伝承では福岡県の話とされている。
江戸時代に夷隅梅之助という侍がオランダの医師に騙されて拉致・幽閉され
頭部手術によって脳を鳩と入れ替えられ、
気がついた梅之助は自分自身を見て怒り福岡を破壊して回った。
この時その場に居て命からがら逃げ出した山形の商人・武田毅麿は
山形で人々に話し回ったが誰も信じず、実際に福岡は何ともなかったという。

以上は『山形民俗』にあるもので
実際に何人かの古老は聞いたことがあると答えたと書かれているが、
このような伝承が実際に伝わっているかは不明である。
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